越境は、いつも想像よりあっけなく vo.9 コロンボの夜の静かなざわめき

濃い緑色、私の好きな深いエメラルドグリーン。コロンボの空港に到着して、飛行機を降りたら、空港スタッフと思わしき女性たちが、民族衣装のサリーを着ていた。2016年に初めて世界一周をした時の、インドの風景を思い出す。

そうだ、ここはインドのすぐ南にある島国。スリランカに足を踏み入れたのは、これが初めてだった。

時刻は22時10分。なかなかの夜だった。ここから荷物をピックアップして、両替をして、SIMカードのセットアップやら何やらに精を出したら、下手をしたら空港を出るのが日付が変わる少し前、くらいになってしまうよ、と思った。急いで空港Wi-Fiをつないで、ここからコロンボ市街地の中心部に予約したホステルまで、何分かかるのか、果たしてUberは本当に呼べるのか、試してみなければと考える。

そしてその通りにする。ありがたいことに、空港周辺にUberはたくさんいた。時間は約40分ほど。うん、大丈夫そうだ、とホッとして、それからゆっくり、あたりを見回す。

スリランカ。現地の言語は、基本的には「シンハラ語」、または「タミル語」。英語は観光主要部では、通じると聞いている。南部のベストシーズンは今、3月。その通り、夏の夜のからり、とした空気が空港周辺にも吹いていた。

空港を出て、夜の街を走るUberの車。から見るコロンボの街並み。「スリランカにあって、もっともスリランカらしくない」と聞いていた。どこかの町に似ている、と考えたけれど、この時はまだ分からなかった。イギリス統治時代の面影深く、アジアとインドと、ヨーロッパと。あとはどこだろう、きっとキューバとか、ラオスとか、そのあたりの「まだ」という雰囲気を、ここも残しているような印象を受けた。

夜中は、てっきり真っ暗で「しん」としているのかと想像していた。24時を過ぎようとしているのに、店は開いて、音楽は鳴り、海沿いを散歩する人がいるようだった。「まるでカンボジアのシェムリアップみたいだ」と、比較対象が浮かぶ。同時に、どこか違和感も覚えた。それは多分、街を歩いている人がほぼ100%男性だったからだ、と後で気づいた。

人々は、優しそうだった。人懐こく、笑顔が多い印象だった。仏教徒とヒンドゥー教徒が8割以上を占める。どんな出会いと、感情の変化と発見があるだろうと、明日からの日々に思いを馳せながら、ベッドに潜る。タイとの時差は1時間半。日本との時差は3時間半。時間については、スリランカの方が「追いかけるほうの国」だから、ここが今1時を迎えようとしているということは、日本はもう4時半だった。タイでさえ、2時半だ。眠いはずだ。頭が働かない。まずは眠ろう、深く。悲観的なことを、何も考えなくて済むように。あなたにおやすみを言って、スリランカ旅の最初の夜を綴じる。